手編みの天然素材バッグは春夏のリゾートコレクションに欠かせない存在です。しかしデザイナーは籐(ラタン)と竹(バンブー)の選定においてしばしば迷われます。
1. インドネシア産野生籐:しなやかな弾力と経年変化

輸入されたインドネシア籐は長い管状繊維を持ちます。六角かごめ編み等で仕上げた際、高い耐衝撃性と柔軟性を発揮し、使い込むほどに艶やかなヴィンテージ飴色へと変化します。
2. 高山炭化竹:構築的幾何学フォルムと立体感
竹は直線的な剛性に優れます。高圧高温蒸煮で糖分・油分を抜き、炭化防カビ加工を施した竹ヒゴは端正な直線を保持し、円筒バケットやケージバッグに最適です。
海上コンテナ輸送を見据えた防カビ品質管理
当アトリエの天然素材はすべて高温殺菌と定温除湿乾燥を徹底し、含水率を12%以下に厳密管理。高温多湿な赤道直下の海上輸送でもカビ発生をゼロに抑えます。
ラタンか竹か:どちらを選ぶべきか
柔らかく戻るシルエット、つまり丸いトートや柔らかな丸型バッグ、身体に沿わせて持つ形にはラタンが向きます。平らな面と端正な幾何学、つまりバケットバッグやボックス型、建築的なフレームには竹が向きます。優れたリゾートバッグの多くは両者を併用し、竹の骨組みにラタンの編み面を組み合わせています。
| 項目 | インドネシア産天然ラタン | 炭化竹 |
|---|---|---|
| 繊維の形状 | 長く途切れない籐、円形または楕円断面 | 中空の竹稈から割いた細片 |
| 剛性 | 柔軟で形状が戻る | 線形剛性が高い |
| 代表的な編み | 六角の目透かし編み、縁の巻き仕上げ | 平編みの格子、密な幾何学模様 |
| 重量感 | 同体積で軽い | 密度が高く、しっかりした手応え |
| 吸湿挙動 | 吸湿し、湿度で動く | 吸湿し、乾きすぎると割れる |
| カビリスク | 煮沸と乾燥で低減 | 糖分除去と乾燥で低減 |
| 適するシルエット | 丸型バッグ、柔らかなトート、丸かご | バケット、ボックス、アーチ型 |
| 修理 | 部分的な編み直しが可能 | 割れは目立ちやすい |
| 相対コスト | 中 | 中〜高(仕上げ次第) |
設計段階で効く構造の性質
- 荷重経路:編みバッグでは垂直荷重の大半を縁が受け持つため、補強は面ではなく縁に入れる。
- 曲げ半径:ラタンはより小さく曲げられるため、丸型バッグはラタンになる。
- 面の安定性:竹は平らな面を保つため、刺繍や金具プレートのために前面を平らにしたい場合に適する。
- 混構造:ラタン編みの内側に竹のリブを入れると、目透かしの表情を保ちながら輪郭が引き締まる。
- 持ち手の接合:繊維の種類を問わず、持ち手の接合部が最初に壊れる。縫いだけではなく革の当てと金属リベットが必要。
海上輸送に向けた防カビと含水率管理
- カビの栄養になる糖分やデンプンを煮沸・蒸煮で除去する。
- 編む前に目標含水率まで乾燥させ、感覚ではなく含水率計で確認する。
- 乾燥剤と防湿層を入れて梱包し、湿気を閉じ込める密閉カートンを避ける。
- 出荷前検査は、バラの見本ではなく梱包済み製品のカビ確認を含める。
- 買い手向けの保管指針:通風のある場所、相対湿度は概ね 60% 以下が望ましい。
手入れ・修理・廃棄
- 乾いた布、またはごくわずかに湿らせた布で拭く。編み部を浸水させない。
- 暖房の効いた室内で乾き割れしないよう、ラタンは少量のオイルかワックスで保养する。
- 歪んだ縁はゆっくり戻す。無理に矯正すると籐が割れる。
- 金属金具を外せば、どちらの天然繊維も堆肥化できる。
正直に伝える制約
どちらの繊維も「カビが絶対に生えない」わけではありません。どちらも天然の吸湿性素材で、湿気の多い倉庫や熱帯の密閉コンテナの影響は受け得ます。当アトリエは工程を「リスクの排除」ではなく「リスクの低減」と表現し、乾燥剤・通風・入荷時検査を推奨しています。ラタンの太さや色味も収穫ごとに変わります。完全に均一な表面が必要な場合は、合成の編み資材の方が適しています。
デザイナーからよくある質問
長持ちするのはラタンと竹のどちらですか?
乾燥を保てればどちらも長持ちします。竹は寸法安定性が高い一方で乾きすぎると割れ、ラタンは割れにくい代わりに時間とともに緩みます。保管環境の方が繊維の選択より重要です。
1 つのバッグに併用できますか?
できます。構造のあるバッグで最も多いご要望です。竹のリブで骨組みを作り、ラタンで編み面を作ります。
カビが生えないことを保証できますか?
できません。誠実なアトリエは保証できません。蒸煮、目標含水率までの乾燥、乾燥剤の同梱、出荷前検査でリスクを大幅に下げます。
完成品はどう保管すべきですか?
乾燥・通風・直射日光を避け、相対湿度は概ね 60% 以下が望ましいです。
- 手編みラタン丸型バッグ ラタン編み、巻き持ち手、裏地のディテール。
- 竹編み幾何学バケット 端正な竹の格子フレームと巾着ポーチ。
- 混媒の縫い目設計 編み地と刺繍パネルの接合方法。
- 編み物の開発相談 シルエットをお送りいただければ繊維と構造を提案します。
どちらの繊維を選んでも、価格より先に修理を尋ねてください。ラタンは損傷箇所の周囲を現地で編み直せます。欧州市場で修理対応をするブランドにとって重要です。炭化竹は通常、竹片ではなく接合部で破損するため、対処は材料交換ではなく接点の作り直しです。初年度に一定の修理量を見込むのが現実的で、ゼロと仮定するのは実質的に返品を計画していることになります。
当工房に届く相談の多くは、ラタンか竹かをデザインの好みとして捉えています。しかし本質は構造の選択です。繊維が、1シーズン使用した後に形を保てるシルエットを決めます。実際には、ラタンバッグと竹バッグは別々に発注されるよりも一緒に発注されることのほうが多く、完成度の高いリゾートラインは竹で骨格を作り、ラタンで表面を編みます。







